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さて機械時計の登場。
登場とはいっても機械時計ですジャーン!みたいな登場なわけはなく
ちょっとづつちょっとづつの工夫でやーーーーっと辿り着いた
という感じだと思います。
ロマンすら感じます。
この本『古時計 新装改訂版』によりますと
最も古い機械時計の記録は1360年頃
ドイツのディ・ヴィックさんが作った塔時計であるそうです。
さて機械時計とは、例の歯車をいっぱい組み合わせたやつで
動力源は重りでした。
これが後にゼンマイになるわけですが、この頃はまだない。
一番もとになる歯車の芯に
先端に重りを付けたヒモをグルグル巻き付けますと
重りが落っこちて、歯車が回り始めると。
そういうしくみだもんで、上記の塔時計とか、縦長の形状になってくるわけですね。
ハト時計(ヨーロッパではカッコー時計)とかに
鎖やらヒモやらがぶら下がってるのを見た事あったなーそういえば。
さてさて
ちょっと想像してみます。
重りにしろ、ゼンマイにしろ、いっぱいまで巻取って手を離してみる。
そうすっとどうなるか。
重りはドワーッ!と落っこちるし
ゼンマイはブワーッ!とほどける
時計の針はグルグルグルーッともの凄い勢いで回る。
ディ・ヴィックさんの塔時計の重りは226kg。
これが10m下降するんだから、そんなんもう大事故です。
そこで脱進機という調速装置が発明されたわけであります。
これは歯車の回転速度を遅める為のもので
これによって226kgの重りが24時間かけて10m下降すると。
言ってしまえば機械時計で一番重要な機構であるというわけです。
さてその構造。
これを考えた経緯まではこの本には載ってないんですが
これはこれだけで1冊の本になるよなーきっと。
試行錯誤がいーっぱいあったんだろうなーと想像出来ます。
で、結果的な構造としては画像左のA,B,C,Dに絡んだあたりが脱進機です。
簡単にいうと、ストッパー的な物を
一番もとの歯車に抜き差しすることで
一瞬止まって、一瞬進むを繰り返すというような感じです大体。
画像のA、これが冠型歯車というやつで
CとDがストッパー。
このCとDは、一本の棒にくっついてるんだけど
向きがずれててですね
上から見たら90°くらいの角度に開いてるわけです。
そうすっとね、Aが回ろうとするとCが外れるけど
今度はDが掛かってくる。
でこのAの歯の数は奇数で作ってあるので
対角線上の両端に歯がないので
またDが外れてCが掛かる。
これを繰り返すというわけ。
これによってCとDの心棒はくるっくるっと左右に回転すると
でその心棒にくっついているB、天符(てんぷ)も回転するわけですが
2つの小さい重りがぶら下がっており
これを内外に移動させれば回転の速度を調節出来る。
というわけなんですなー。
全っっっっっっっっ然分かんないでしょ。
僕も何度も何度も読み返してやっと分かったーかもーしれないなー・・・・
という状況です。
とにかくすげーというのは分かったんですが。
さてさて脱進機はさらに進化します。
ディ・ヴィックの約300年後。
オランダのホイヘンスさんが振り子を取り入れたわけです。
右の画像ですね。
ディ・ヴィックさんのは摩擦が多く精度が低かったので
ホイヘンスさんは冠型歯車の向きを変えて
天符の一方を輪っかにして、その中に振り子の竿を通したと
で、天符の回転によって振り子が動く。
振り子の等時性によって規則正しく左右に動くというわけです。
ただ、振り角が大きくなると等時性が期待出来なくなることが分かり
それを抑えるような発明を、さらにしたわけです。
ちなみに振り子の等時性を発見したのはガリレオで
ディ・ヴィックの時計よりも200年程後の事です。
すごいわー人間て。
いろんな人がいろんな方面でいろんな発見をして
さらにそれを組み合わせてどんどん進歩していったのねー。
さあ
脱進機はさらにさらに進化するわけです。
1675年にイギリスのロバート・フックさんがアンクル脱進機を発明しました。
これは冠型歯車に代わるガンギ車という歯車に
アンクルという爪を引っ掛けてストッパーとする機構。
これにより振り子の振り角は非常に小さくなり
精度も急上昇したわけです。
さらに1715年、イギリスのジョージ・グラハムさんがこれに改良を加えたわけです。
そうすっと今度は振り子の方の改良にも目を向けられてくるわけで
つまり温度の変化によって
振り子の振り竿が伸び縮みして速度が変わってしまうと。
なもんで、振り玉に水銀を使ったり
振り竿に2種類の膨張率の違う金属を使ったり
様々な発明がされるわけです。
最終的には伸縮も膨張もしない合金の発明によりこれは解決に至ったと。
発明だらけです。
さてさてアンクル脱進機。
これはですね
僕の持っている精工舎の時計の中身。
ここでアンクル脱進機がちゃんと使われてるわけですよ。
これはね、ちょっと感動です。
繋がってるなーと実感。
ゼンマイ式の機械時計だったら目にする機会も多いと思います。
ちょっと見てみると良いですよ。
700年くらい前から進歩し続けた結果があるわけです。
すごいです。
次回予告
そして機械時計はついに江戸へ!
古時計3 判定は、丑三ツです!の巻
ご期待下さい。
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